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Asu no chikyû sedai no tameni (1975)

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Asu no chikyû sedai no tameni

(1975)–Willem Oltmans–rechtenstatus Auteursrechtelijk beschermd

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[p. 110]

13 衛藤瀋吉

衛藤瀋吉教授は一九二三年十一月十六日、中国の瀋陽で生まれ、一九四八年に東京大学の法学部を卒業した。一九四九年から五三年まで、東京大学東洋文化研究所に勤務した後、一九五三年に政治学助教授として東京工業学に移った。一九六七年には、東京大学の国際関係諭教授となり、現在は国際関係論学科の主任である。最近の英語での出版物としては、Moderation and Radicalism in the Chinese Revolution, James B. Crowley (ed.). East Asia: Essays of Interpretation, New York (1970) および Postwar Japanese and Chinese Relations, Survey, Vol. 18, No. 4(Autumn 1972), Oxford, England などがある。

 

今日の世界における日本の地位を議論するに当たって、日本はアメリカ合衆国よリも豊かになリさえするだろぅ、といぅ予測が行なわれたことがあリました。確かに日本は経済大国になリつつあリます。しかし、日本が存続して行くためには、原材料の不断の流入を保障する等々のためには、平和もまた必要です。東南アジアの豊かな自然资源や、また例えば中国の経済発展などを考えた時、日本はこの経済力をどのように扱うものと期待なさいますか。

 

第二次大戦後の日本の基本的姿勢は不介入ということでした。国際関係について言えば、日本は今後もその姿勢を保ち続けるでしょう。おそらくはアメリヵ合衆国の圧倒的な影響下にあって、日本は最初台湾の国民党寄りの姿勢をとっていました。また、なんと言ってもわが国は、ヮシントンとの安全保障条約に強くしばられていたのです。これらニつの主要なインヴオルヴメントを別にすれば、日本はさまざまな国際紛争に対してはコミットしないできました。この基本的な姿勢ないしは政治方針は、一九七〇年代および一九八〇年代 にも持統されるだろうと思います。

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その理由は次のとおりです,第一に,日本の世論は、国内政治の諸問題については、依然として分裂し続けていることでしょう。そのため、政府は、対外政策に関しては、強力なリーダーシップを行使することができません。政府がAならAという動きをしたいと思えば、野党はまちがいなく反Aの立場をとることでしょう。それらの力が相殺し合った結果は、Aをほんの少しだけ行なう、という決定となるでしょう。それ以上のことは起こり得ないのです。例えば、日本の政治家の中には、わか国の防衛費を根本的にかつ相当急速に增大させた いと望んだ人もいました。しかし野党はそのような措置にはいつでも反対してきました。その結果防衛予算の増加率は、きわめて緩やかなものとなっています。防衛費は今でも国民総生産の一バーセント以下なのです。

繰り返して申しますが、内政と外交のこのような結びつきのために、日本が国際関係の分野で能動的かつ積極的な政策を追求することは不可能になっています。第二の理由として、自由民主党は衆議院での多数を遅かれ早かれ失うだろう、ということがあげられます。わが国で(野党の)連立内閣の成立が可能になるのは、一九七〇年代の後半か一九八〇年代の初めのことでしょう。そうなったあかつきには、現在の日本の政策は確実に変化するでしょう。例えば、野党は日米安保条約に一貫して反対の立場をとってきてい ます。野党はまた、現在の国防システムにも反対してきました。第三に、野党は低開発国に対する日本の経済的拡張に反対しています。

 

なぜてしょうか。

 

わかりません。野党にたずねてみてください。野党はまた、日本と低開発国との経済協力を非常に疑問としています。野党の解釈にょれば、今日のわが国が経済協力を発展途上国と行なっているのは、経済的帝国主義だと言うのです。

 

発展途上国というのは、例えばブラジルのような国のことですか。

 

そうです。それが経済的帝国主義だと言うのです。野党が連立内閣の樹立に成功するやいなや、現在のわが国の政策には大きな変化が生ずるでしょう。

なおこの点に関連して私があげたい第三の理由は、私自身をも含めて、わが国では誰も日本が国際社会の中でどのような方向に進むべきかを知らない、ということで

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す。極端論者の中には、自分逹のイデオフロギーを唱道しがちな人々もいますが、わが国での大多数を占める穏健で実際的な人々は、日本がどのよぅな方向に進むべきかについて、何の考えも持っていないのです。例えば、わが国の海外での経済協力活動は、協力を受けている諸国の側に好悪入り混じった複雑な感情を呼び起こしています。

 

タイ国などのことですか。

 

そのとおりです。たぶんタイの人々は、タイ国での日本の経済活動から、大きな恩恵を蒙っているでしょぅ。日本流の経営や日本の技術を取り入れることができるのですから。また日本の資本も投資され、タイ国の一人当たり国民所得の増加を可能にしています。しかしながら同時に......

 

彼等はあなた方のおかげを漦リ過ぎ、あなた方はタイ国てあまリにも多くのものを所有し過ぎている。

 

おっしゃるとおりです。彼等はしばしば、われわれがタイでいばりかえっていると言って非難します。確かに、タイ人の民族主義的な感情は、日本の経済活動によってひどく傷つき損われています。その結果として、好悪相半ばする気持が日增しに強くなっています。日本人の大多数は、他の国々の中でのわが国の経済活動や協力の拡大の適切な速度について、何の知るところもありません。これがわれわれの問題なのです。さて以上が、少なくとも今後何年かは国際社会の中で日本が積極的な役割を演じないだろうということの、 三つの主要な理由です。

 

ですが,それと同時に、日本に国連の安全保陣理事会の常任理事国の席を与えようという提案が、ヮシントンの指示のもとになされているではあリませんか。

 

そうですね。経済的な面で言えば、国際社会の中での日本の役割は増大してきている、とほとんど自動的に言うことができるでしょう。それはそのとおりです。例えば、わが国は多額の外貨準備を持っています。それゆえ、国外で多額のお金を使うことを強要されています。同様に、対外資本投資を始めるよう強要されてもいます。これまたおっしやるとおりです。しかしながら他方において、政治的な点からすれば、国際社会の中での日本の役割の增大に関しては、それほど楽観的には私はな

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れません。それは、私が先ほど述べました三つの基本的な理由にもよりますが、それに加えて、国際連合が非常に複雜な組織であるように思われる、ということもあげられます。アメリカ合衆国としては、おそらくは日本の常任理事国入りを結果的には支持するような公式声明を出したのかもしれませんが、ヮシントンがそのための具体的な提案を行なうようになるかどうかは、私は知りません。

 

もう提案しましたよ。

いやいや。そのような意図があることは表明しましたが、日本を安全保障理事会の常任理事国としてどのような形で招請するかについての具体的な提案は行なっていません。インドやブラジルがそれをあまりうれしく思わないことは確実でしょうし、私の知る限りではイタリアが、ここしばらく常任理事国の席に目をつけています。

 

イタリアでは括にもなリません。ブラジルとインドについてはおゥしゃるとおリでしょう。フランスとイギリスは常任理事国の席からただちに追放されるべきでナ。この両国が常任理事国だというのは一九四五年の世界の権力構造を前提にしているのですから。

 

ょろしい、それはあなたの見解ですしかし。客観的に言えば、日本が安保常任理事国になる可能性は、それほど大きくありません。

 

日本の若者逹ですが、京大のキャンバスを歩いていた時、学生速はジーバンをはき、セー夕ーを着、車を乗リまわして、まるでカリフォルニアの学生のようにみえました。ところで、アメリカからくるものは、日本人にとってどれほどの外見的な魅力を持ち、またそれが日本にとってよいものだという内的な確信をどの程度抱かれているのでしょうか。お国の学生達の心の中には何があるのでしょうか。

 

それはたいへんょい質問です。学生は知識人の部類に属しますので、日本の知識人の話をしましょう。日本の知識人はニつの大きな特徴を持っております。第一に、彼等は心の中でほんとうに思っていることと、公に話したり書いたりすることとを非常にはっきり区別しています。彼等が真に心の中で感じていることの中には、西欧人やアメリカ人を含む白人に対する讚嘆の念 - たぶん

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これはちょっと強過ぎる言葉かもしれませんが - が含まれています。

 

公然と表明されているというよリは、むしろ心の中に隠された謂嘆の念ということでしょうか。

 

まさにそうです。心理学で言うインフェリオリティ・コンブレックスです。それゆえ、日本の知識人達は、いつもフランスの文化だとかアメリカ的生活様式といったものと、熱心に接触したがっているのです。同時に、日本の知識人はその基本的なインフェリオリティ・ュンブレックスのために、自分の真の感情を白人に対して隠してしまうのです。なぜならばその内心では、彼等はアメリカ合衆国を批判し、ョーロッバ文明の衰退や没落等々といったことを考えるのが好きでさえあるのです。彼等はアメリカ社会や西欧社会一般のさまざ まな欠陥や短所を発見することを常に好みます。日本の知識人が西欧社会に対して持っている真実の感じを見出すのはほんとちに非常にむずかしいことです。いい例を一つお話ししましょう。

ここに一人の非常に急進的で左翼的な大学教授がいました。彼はアメリカ帝国主義について声高く語り、アジアにおけるアメリカの活動に反対する多数の論文を書き、学生の反乱を熱狂的に指示していました。そこへ、リ東京のアメリカ合衆国情報幾関からの接触を受け、アメリカにやってきて三か月の研究旅行をしてはどうかと言われました。彼はただちにその招待を受け、実際にアメリカに行きました。彼は、アメリカ国務省が提供した特別通訳つきで楽しい旅行をしましたが、それでも依然としてアメリ力を批判し続けています。

 

日本に帰ってきてからもですか。

 

そうです。もっとも私は、この教授はアメリカ人およびアメリカ的様式が好きだと確信していますが。

 

しかし、アメリカやアメリカ人を好きであリながら同時にあの腐リきったシステムや - クソンとか、ああいった世界での腐敗した政治に対して徹底的に反対することは、可能ではないでしょうか。

 

それはそのとおりです。ニクソンの問題は、まあ別のことです。あれはスキヤンダルそのものであり、人々はスキヤンダルを好みません。ですが、あえて申せば、アメリカ的生活様式や私的な企業心のシステム - アメリ

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ヵ資本主義 - に対するこれらの批判者達の中には、このシステムが提供する贅沢物を好んでいるように思われる人々がいるのです。同時に、もしもそのような人々が北京から招待されれば、彼等は全く同じように客んで中華人民共和国を訪問いたします。だが中国を離れて香港に着いた瞬間に、彼等のほとんどは再びこの国の外に出てたいへんしあわせだ、と言うのです。彼等は中国を軍隊式のバレーになぞらえ、その全体主義的なシステムについて不平を言います。だが東京に帰ってくると、公衆の面前で話をする時には、中国のさま ざまな達成を異ロ同音にほめたたえるのです。彼等は北京の支配者達を公の席では決して批判しません。このことは非常に興味ある対照の妙と言えますが、日本の知識人の特質をよく表わしています。政治的に左翼であるかあるいは右翼であるかは、無関係なのです。

そういうわけで、私どもは国際関係の專門の研究者として、今日ではさまざまな国民の基本的な心理構造に、非常に多くの注意を払っています。諸国民の心理学的な分析を試み、それぞれの行動様式を研究することなしには、もはや国際関係の分析は不可能なのです。同じことは日本人の分析を試みる際にも、とりわけよく当てはまります。

 

これまで何度か日本にきているうちに、日本人の頭の中にあるコンビユータについていろんなことを知リました。

 

日本人の心理は玉ネギになぞらえることができます。ひと皮むけばその底には別の皮が出てきます。更にそれをむけば、もうひと皮出てきます。しかも、それぞれの皮は、お互いに違っているのです。

 

問題は、それらのさまざまな皮の間のつながリですね。

 

そう、そのとおりです。

 

ところで、日本の学生逹は日本についてどのような態度でいるでしょうか。日本が経済大国に発展したということだけではなくて、国際社会での日本の果たすべき政治的な義務について、彼等はどのように感じているのでしょうか。

 

困っています、たいへん困っているのです。大学の一年生のような非常に若い問は、学生達は依然としてたい

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そうロマンティックで理想主義的です。わが国の大学の一年生の九十バーセント以上は日本の再軍備に反対であると言ってよいでしょう。彼等は、権力政治に反対であり、日本の財界や政界の中で行なわれる腐敗に反対しています。彼等は社会共同体の中での公正と正義の追求に非常に熱心です。しかし、いったん専門課程に入る頃になると、人間社会の現実は、いかに複雑なものであるかを認識し始めます。中には保守的になり、より現実主義的になるものもいます。四年生になる頃にはすでに、学生逹の九十バーセントは よい職を捜し、いろいろな企業をたずねてみたり、政府関係の試験を受けたりするのに忙しくしています。そして彼等のほとんどは非常に現実主義的になっていると言ってよいでしょう。それゆえ、問題は、彼等の持つ理想主義とロマンチシズムを現実といかに調和させるかという点にあります。何と言っても、腐敗は政府機関の中にさえみられることは確実なのです。政府のお役人をごらんなさい。みんなお金持ちです。田中首相でさえ、ためらうことなしに新聞記者にお金をやっています。いやこれは次のように言いかえまし ょう。田中首相ですら自分自身の政治的な目的のために多額のお金を使うことをためらいませんでした、と。対外的にもまた日本は、さまざまな権力政治に絶えず直面しています。そのうち日本は、弱小国からの资迫にさえ、直面しなければならなくなるでしょう。

 

アラブのような国てすか。

 

そうです。アラブ諸国はわが国のイスラエルとの友好的な関係に抗議しています。それからまた、インドネシアのスカルノ前大統領がイリアン - パラト(インドネシア語で西ニユーギニア。西イリアン)をめぐつてオランダとの問に衝突を引き起こした時、スカルノ政府はオランダの航空母艦の横浜寄港に強く抗議しました。そして結局日本政府はスカルノの要求に屈することにしました。これは、弱小国による脅迫の一例です。

 

おそらく。しかしスカルノは自分の意図を日本に強要することに成功したという意味では、明らかにそれほど弱くはなかったことになリます。弱かったのはどちらの国なんでしょうか。日本かそれともインドネシアか、あるいはこの点に関して言えばスカルノなのか。

 

インドネシアは日本に比べれば弱い国です。

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いや日本が一番弱かったのでナよ。要求に屈したんですからね。

 

それはそのとおりです。そしてまさにそれが日本の若い学生達を一番困らせる点なのです。彼等は世界政治がどんなに汚いものかということを認識し始めており、時にはこの世界から逃げ出せればよいのに、と思ったりすることもあります。

 

彼等が出世して未来の政治家になった時には、親達が今やっているのと同じような振舞いをし腐敗してしまうでしょうね。遠いますか。

 

そのとおりです。それが人間の中に絶えず起こっている変化なのです。われわれは日本でいつもそれをみてきました。

 

私が理解に苦しむのは、非常に多くの民主的な政府が、今日の東南アジアの最も腐敗した反人民的な政権のいくつかと緊密で利益の得られる関係を維持しているということです。例えば最近のクーデ夕ー以前のタイとかスハルトのインドネシアがそれです。インドネシアではまず数十万の農民がフ7シスト達によって虐殺され、その後更に数千人が強制収容所に無期限に入れられました。日本もまた東南アジアの大衆との関係で苦境に陥っているのは、何の不思議もあリません。

 

私は、タイやインドネシアの政府が腐敗しているかいないかについて、何の論評をも加えたくありません。これらの国々がどのような政策をとり、どのような政府を持っているかは、全く彼等自身の問題だと思います。

ここで私が強調したいのは次のような事実です,すなわち日本人民は島国に固有の地理的な孤立という事情に加えて、一六三九年から一八五四年に至る、ほとんど二二〇年間にわたる完全な鎖国の時期を持っていたということです。つまり日本人は、異なった文化が遭遇する際に発生するさまざまな文化摩擦に対処することに惯れていません。日本人には、西欧と中国を例外とすれば、他の諸国民の文化や思考や行動様式を気にしない傾向があります。日本人は一八五〇年頃まで中国漢文明の影響圈の周辺に位置しており、それ 以後は西欧文明圈の周辺に位置していますから、この二つの文化に対してはインフェリオリティ・コンブレックスの心理を持つようになりました。この二つが例外なのでして、日本人はしばしば

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この二つの文明の中心に位置する人々に対してきわめて従順なのです。

日本国民の問に広がっていて、私にはたいそう気になる傾向は、われわれが中国人や西欧人に対しては非常に従順かつ柔軟であるのに、他の諸国民に対してはきわめて高慢で融通のきかない態度をとるということです。中国人や西欧人にとっては、日本人は寬大で対処しやすい相手です。だが中国人おょび西欧人以外の人々にとっては、日本人は高慢で利己的なょうにみえます。このょうな性質が是正されない限り、アジアの反日問題をわれわれが解決し得るとは思われません。

 

あなたがその成長を助けておられる日本の青年達と、毛沢東によって鼓吹され、ある程度因習にとらわれない方法で洗脳されつつある数億の中国資年との間のコミュニケーションは、どのように展開して行くとごらんになりますか。

 

これまたたいへんょいご質問です。日本と中国の指導者についてへンリー・キッシンジャーが受けた感じを例にあげてお答えしましよう。キツシンジヤーは、北京に行く前は周恩来をも含めた北京の指導者逹に対してたいへん疑わしい気持を抱いていたことは確実だと思います。しかしながら、キッシンジャーが周恩来首相とさまざまな国際問題を議論し始めるやいなや、二人は同一の観点に立っている、すなわち権力政治の観点に立っている、ということに気づきました。どちらも、自国の国益を追求しようという同じ強い意 図を抱いていることを知ったのです。周恩来が今日の時代の道徳的な諸問題についていかに説得的に語ろうとも、それは全て単なる表面上のみせかけにすぎません。ひと皮むけばその底には、昔のままの精神状態、すなわち榷力政治志向型の精神状態があったのです。ヘンリー・キッシンジャーは、周恩来首相に魅了されたのです。他方、田中首相や大平外相と話をした時には、キッシンジャーはこの二人の日本の指導者のどちらとも、共通の基盤を見出すことができませんでした。それゆえ、アメリヵ合衆国と中華人民共和国と が、実質的な対話を継続して行けることは、確実だと思います。他方、日本人と中国人との間の今後の対話の可能性については、私は非常に危惧の念を強く持っております。表面では、どちらの国も道徳的な諸問題や、アジアの解放運動などについて語ってはいるのですが......

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[p. 119]

航空協定についてもですね。

 

そうです。それからまた経済協力についても語っています。しかし、今後の詳細な討議のための共通の基盤があるとは考えられません。遅かれ早かれ誤解が生ずるでしょう。この両国の問の誤解は、容易に政治的な紛争を生み出すことでしょう。私はそれがたいそう心配なのです。私はまだ若い。ですからこの種の紛争が将来日本と中国との問に生ずるのをみたくありません。私どもの学科では、偏見のない態度を持ち統けて、日中閲係の分析を試み、今申し上げたょうな将来の紛争を回避する道を見出そうと努めています。何 と言っても、それが学者としての私の義務でしょう。

 

あなたは学生達が、新中国についてできる限リ多くのことを知るように学生を教育していらっしゃいますか。学生達は中国語の会話ができるように勉強していますか。

 

もちろんです。私は、アジア研究、とりわけ中国研究の分野に第一級の学生をこさせょうとして、最善を尽くしてきています。

(公文俊平)


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