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Soren no tachiba. Detanto no hokani michi wa nai (The Sovjet viewpoint. No alternative to detente) (1983)

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Titelpagina van Soren no tachiba. Detanto no hokani michi wa nai (The Sovjet viewpoint. No alternative to detente)
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Soren no tachiba. Detanto no hokani michi wa nai (The Sovjet viewpoint. No alternative to detente)

(1983)–Georgi Arbatov, Willem Oltmans–rechtenstatus Auteursrechtelijk beschermd

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3 ソ連人の米国観

- アフガニスタンについては、あとでもう一度触れたい。平和共存の問題から話がそれて

しまった。平和共存の成否は、ソ連がアメリカをどう見ているか。またもちろん,逆にアメリカがソ連をどう見ているかによるところが大きい。モスクワはアメリカをどう見ているのか。

A これは非常に複雑な問題だ。アメリカはソ連で大きな関心を集めているテーマだ。本や記事も数多く書かれている。われわれがアメリカについてどのような認識を持っているかを手短に、しかし正確に伝えるというのは大変な仕事だ。大ざっぱにならざるをえないが,とにかくやってみよう。

もう一度くり返すけれども、ソ連国民はアメリカに強い関心を持っている。ここでいう国民とは、年齢や教育、職業などにかかわりなく、きわめて広い層の国民一般を指している。アメリカ人のソ連に対する関心と比較すると、この点で際立った食い違いがあるように思う。もっともソ連はこの点ではほかの国々と似たりよったりなのだが、アメリカのほうは、アメリカ以外の世界には伝統的に、ごく限られた関心しか持っていない。

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[p. 75]

ソ連は、アメリカを経済的にも軍事的にも非常に強力な国だと考えている。ソ連国民から見ると、アメリカ外交政策の特徴は帝国主義的な意図にある。特に現段階では、その点が目立っている。そしてソ連国民から見れば、現在のアメリカの対ソ政策は敵対的としか解釈のしようがないことも付け加えておかなければならない。

その他の点では、アメリカは見ていて決して飽きのこない国である。もっとも、時々腹立たしい思いをさせられることもあるが。わが国民はアメリカの文化や文学、それに映画、音楽、建築に大変関心を持っている。これらの分野でのアメリカの優れた作品は、ソ連でもよく知られている。わが国の専門家はアメリカの科学、技術、産業、医学、農業などの業績についてよく通じている。また、ポピュラー音楽やジーンズ、チューインガム、ペブシコーラ、コカコーラ、それに大西部、などといった アメリカ的生活様式の数々にも関心は強く、特に若者の間には時として熱狂的な趣味を持つ者さえある。

同時にソ連の一般大衆は、アメリカの直面している問題が次第に深刻化していることもよく知っている。私が考えている問題というのはまず第一に、インフレ、失業、エネルギーといった経済問題である。また、黒人、インディアン、スベイン系など少数民族のおかれた状況や、ニューヨーク、クリーブランドなど古い大都市の抱える問題、大多数のアメリカ人にかかわりのある厚生・医療の問題、犯罪や麻薬の問題などなど、多くの社会的問題も挙げられる。

最後にアメリカ社会を悩ましている問題に、政治的、精神的な問題もある。アメリカの究極的な権力や、アメリカの国家的問題についての決定的発言権は、企業エリートが握っているとわれわれは確信しているが、歴史的な一連の出来事はこの確信を一段と強める結果になっている。この確信は、アメリカ民主主義やアメリカ的生活様式についてのわれわれの見方を決定づけるうえで、非常に大きな

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[p. 76]

役割を果たしている。

- ウォーターゲート事件はソ連の人たちにどのような印象を与えただろうか。

A きわめて異常な事件と受けとめた。しかし、あの事件はアメリカ人自身にとっても、やはり異様だったのではないか。アメリカの歴史上かつてなかったことだ。われわれの研究所では何人かの研究員が当時、ニクソン辞任に賭けて勝った。しかし賭けに負けた者も同じくらいいたから、自分たちの先見の明をあまり誇るわけにはいかない。

アメリカ・カナダ研究所の役割

- アメリカ・カナダ研究所のことを少し、お聞かせ願いたい。クレムリンから一マイルと離れていない場所で、一八世紀風の優雅な邸宅を研究所としているわけだが、あなた方はそこでどういう仕事をしているのか。

A もちろんわれわれは、いつもアメリカの政治的出来事について賭けをして時間をつぶしているわけでにない。この研究所は、ソ連科学アカデミーが作った数多い研究施設の一つだ。

- 設立されたのは。

A 一九六八年。

- そこでの主な研究分野は。

A アメリカとカナダの経済問題、内政、社会問題、政党、選挙の動向などだ。またアメリカの軍事政策の研究もしている。ただこれはアメリカの軍事機構そのものが対象ではなく、軍事をめぐる支出や計画、軍事上の理論や姿勢が、ソ米関係をもちろん含めてアメリカの外交政策にどのような影響をもたらすのか、という研究である。

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[p. 77]

また軍備管理の問題も研究している。ヨーロッバ、極東、中東、発展途上国など、地域ごとにアメリカ外交政策の問題を調査している部門もあるし、アメリカの世論、思想動向、文化を研究している部門もある。

- 相当多数の研究員を抱えているのか。

A 約三五〇人、それに大学院生レベルの学生が二〇人ないし三〇人いる。研究所スタッフはここで訓練を受けた者が多い。

- 研究発表はどんな形で行なうのか。

A 主として本にしている。最近発表したもののなかには『現代アメリカ外交政策の考え方』『アメリカの対外経済政策』『八〇年代に臨むカナダ』『現代アメリカの政治意識』『アメリカ経済-その問題点と矛盾』『アメリカ議会と外交政策』などの学術論文がある。

また月刊の出版物も出している。研究所の専門家たちは講義や新聞、雑誌への原稿執筆、テレビ出演など、広範な教育活動に引っばりだこのありさまだ。

- 研究所の報告書は政府にも届いていると思うが。

A もしこちらに面白いアイデアがあれば、それを政府に伝えることは少しも難しくない。大事なことは、まずその面白いアイデアを見つけることだ。われわれの研究している分野について政府の人間から問い合わせがあれば、こちらには隠すことはなにもない。

しかし、はっきり言っておきたいが、この研究所は外交政策の日常業務に役立てるために設けられたわけではない。それは外務省なり、ワシントソにあるソ連大使館の仕事であって、われわれの任務は長期的な問題や趨勢を研究し、研究対象の国をより深く正確に理解するのに役立つ基礎的な研究、調査を進めることにある。

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[p. 78]

- アメリカ側にも同じようなソ連を対象とする研究所があると思うが。

A 当研究所にそのまま相当するようなものはない。しかしソ連を研究するための小規模な研究所は大学のほか、ランド・コーポレーショソや国防分析研究所など、国防総省が後援している施設などに数多くある。またワシントソのスミソニアン研究所付属のジョージ・ケナソ研究所のようなセンターもある。

- アメリカ人学者と常時、接触はあるのか。

A ある。さまざまな大学のほか、外交評議会、ブルッキングズ研究所、スタンフォード調査研究所、その他のセンターと仕事上の関係をいろいろ持っている。一部の研究所とは共同研究を行なうこともある。

- 学者の交換計画は。

A ソ連の人間もアメリカへ行くし、われわれも学者や議員、実業家などをソ連に招いている。そのほか、モスクワ訪問中にここを訪ねてくるアメリカ人も多い。残念ながらアメリカ政府が過去一、二年の間にソ米間の科学その他の分野での交換計画を急に削減したため、当研究所のアメリカとの関係も影響を受けている。

- この研究所を訪ねたことのあるアメリカ人の名前を幾人か挙げてほしい。

A ウォルター・モンデール〔前副大統領〕は上院議員当時、ここで講演をしてくれたことがある。ェドマンド・マスキー〔元民主党上院議員〕も来たことがあるし、アベレル・ハリマン〔元駐ソ大使〕も二度ほど訪ねてくれた。アメリカ共産党の指導者であるガス・ホール、ヘンリー・ウィンストン、アソジェラ・デービスらを迎えたこともある。まだまだ名前を挙げればかなり長いリストができ上がる。

上院議員ではケネディ、ぺーカー、ガーソ議員ら、下院議員ではパニク議員。そのほか、サイラス・

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[p. 79]

バンス〔カ-タ-政権時代の国務長官〕、ズビグニユ-・ブレジンスキー〔カ-タ-政権時代の大統領補佐官〕、ハロルド・ブラウン、マ-シャル・シュルマン、マイケル・ブルーメソソール、ア-サ-・バ-ンズ、ジョン・ケネス・ガルブレイス、ジョ-ジ・ケナン、ロバ-ト・ブランガ-、レスリー・ゲルブ、ハロルド・アグニユ-(ロスアラモス研究所)、ボ-ル・ドティ、スタンレ-・ホフマン(いずれもハ-バ-ド大学)、ウィリアム・キントナーもデービッド・ロックフェラ-、A・クロ-ゼン(バソク・オブ・アメリカ頭取)、ロ イ・アッシユ、テックス・ソ-ントン(いずれもリットン・インダストリ-ズ)、ポ-ル・オ-スチン(コカコ-ラ)、ドソ・ケソドール(ペブシコ-ラ)、ウォレァ・バ-ガ-最高裁長官、ジェ-ムズ・ギャビン退役将軍、ジ-ン・ラロック退役海軍少将、ウィリアム・F・バックリ-、ジェ-ムズ・バックリー兄弟、それに、下院軍事委員会委員のほぼ全員。

アメリカ人のおかしな癖

ー研究所を訪れたこれらの人たちと話をし、また自分もアメリカを旅行してみて、アメリカ人というのは自分たちの問題を誇張して言いふらす傾向があるという印象は受けなかったか。アメリカ人にはマゾヒスティックなところがあるとは思わないか。

Aどの社会にも、何が問題で何が問題ではないかを判断する、それぞれ独自の基準というものがある。この基準は、時代とともに変わる。確かにアメリカ人は通常、自分たちが抱えている一部の問題について非常にあけっびろげで、それはアメリカ人のいいところと思う。決してマゾヒズムなんかではない。

われわれ共産主義者はそれを自己批判と名付け、このおかげでこそ社会は進歩すると考えている。同時に、アメリカ人の自己批判は必ずしも額面通りに受けとれないところがある。少しおかしな癖が

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あるのだ。

たとえばアメリカ人は、私にいわせれば、自分たちの問題を「はらい清める」、つまり議論して片づけてしまう特殊な才能を持っている。問題を提起し、議論し、照明を当てて、口々に非難する-ついで、この問題を全部忘れ去って次の問題に目を向けていく-それでいいのだとアメリカ人は信じているように思われる。要するに、ボイラ-の蒸気を抜くのと同じことなのだ。

もう一つ外部のものを驚かせるのは、自分たちの社会の臭いところに「フタをして」平気でやっていけるアメリカ人の才能である。たとえばアメリカ人は、ボルチモアなど一部の都市の警察が腐敗していることをよく知っている。マフィアがカジノを牛耳っていることも広告にはウソがいっばいあることも。また政治家が当選するためにはしばしば不法な手段も辞さず、いったん当選すると選挙の公約には見向きもしなくなることなど、よく承知している。

しかし、一般大衆がこうしたことにほんとうに怒りを表わしたためしがない。それどころか、こうした話を面白い娯楽か気晴らしと心得ている人もあるようだし、こうした話の主人公の抜け目のなさをうらやみさえする人もある。

アメリカ人のマゾヒズムということについていえば、確かにアメリカでそうした苦情を耳にすることがますます多くなった。これが偶然だとは思わない。最近では、批判的態度を自由に表現することが少なくなり、国全体で自画自賛する傾向が明らかに強まって、問題に真正面から対処する意欲が衰えているように見受けられる。

- もっと具体的にいうと、どういうことか。

A いまアメリカの世論を指導する立場にある人たちの多くは、現在のアメリカがかつてなかったほどよくなっているとか、アメリカが抱える問題の根源はアメリカ国内ではなく国外にあるのだとか、

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[p. 81]

自分たち自身や、アメリカ、現在の政府やその政策に信頼を回復しさえすれば、問題の解決はずっと容易だと主張して、国民を納得させようとこれ努めている。

この種の責任転嫁や知的臆病が今日のアメリカの最も深刻な精神的、政治的問題の一つのように思える。こうした状況は、合理的な解決策が一番求められているまさにそのときに、そうした解決策を模索する道を封じてしまうだけに、きわめて深刻な問題である。そして、国が盧大な間違いを犯す可能性が高まる結果にもなっている。

- アメリカでは、自己批判の時期はすでに過ぎているとは思わないか。

A そうは思わない。一つには、アメリカが直面する数々の問題について、解決策の模索にまだまだ終わっていないからだ。アメリカ社会はいま、いろいろな分野を巻き込んだ多面的な危機が長く続く時期を経験しているのだ、と私なり私の同僚なりは考えている。

もしアメリカ国内で、外交政策を含め政策全体を現実の変化に適応させるために、真剣で合理的ななんらかの試みがなされなければ、アメリカは次々と激しい衝撃、おそらくアメリカの歴史上かつて経験したことがないような強烈な衝撃を受けることになるだろう。いまそれがますます明白になりつつある。

- 革命というわけか。

A その心配はない。近い将来、アメリカの社会、政治体制が崩壊するとは、われわれに考えていない。

アメリカで革命が起きるか

- 一九八四年までに共産党がアメリカを乗っ取ることはないか。

A 一部の人たちが予言するような方向にことが動けば、才ーウェルが「ビッグ・ブラザー・ステー

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[p. 82]

ツ」〔ジョージ・才ーウェルの小説「一九八四年」に登場する独裁国家〕について予見したことの幾つかは、一九八四年までに現実のものとなるかもしれない。しかし、それでもアメリカはあくまで反共の「ビッグ・ブラザー」だ。

- アメリカと歴史的競争関係にあるソ連としては、アメリカの問題が深刻化することを自

分たちのブラスとして歓迎するのではないか。

A まあ、だれしも自分の政治観なり理論なりが実証されれば、なにがしかの知的満足感は持つだろう。マルクス主義者もその点で例外ではない。いまアメリカで起きているさまざまな出来事も、われわれは自分たちの現代資本主義に関する分析があらためて立証されたものと受けとめている。

しかしこれは、こちらが喜ぶような問題では決してない。都市の貧困や失業、街頭での犯罪などのために被害を受けるのは平均的なアメリカ人であり、ウォール・ストリートではないということは、ソ連では十分理解されている。こうした問題をみてわれわれが喜べるわけがない。

ソ連の報道機関に伝えられる西側諸国の社会問題についての記事を分析すれば、そうした問題を嬉しがったり、待ち望んでいたりしたという調子ではないことがわかるだろう。われわれは、アメリカのガソリン・スタンドに自動車の行列ができたからといって乾杯したり、アメリカの都市が破産するたびに党の集会を開いて気勢をあげたりはしない。

かなり事情に通じた人たちは、アメリカの抱えるある種の問題が深刻化することを憂慮さえしている。それは現在のアメリカの体制が好きだからということではなく,国家的な危機というものが、一般国民の理解している原因や解決策よりも、はるかに深刻な場合があることを知っているからである。

国民は現状に大いに不満かもしれないが、その不満の真の原因について、誤った判断を持たされているかもしれない。国民は人を惑わす予言者に耳を傾け、偽の解決策を支持するかもしれない。これ

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[p. 83]

は一九二〇年代のイタリア、三〇年代のドイツで起きたことだ。なんといっても、アメリカでフランクリン・ルーズベルトを政権につけ、二ューディールの改革をもたらしたのと同じ大恐慌が、ドイツではヒトラーを総統にし、第二次大戦を招いたのである、確かに、われわれとしては資本主義との歴史的競争に勝ちたい、しかし、放射能の瓦礫の上で勝利を祝いたいとは思わない。

- アメリカ側のある数字によると、社会主義の政府が支配する領域は世界の三九%に及び、

全人口の四二%がマルクス主義思想を信奉しているという。

A これらの数字には若干修正の余地があるかもしれないが,社会主義と共産主義がいまや地球上のかなり広範な地域で、生活の基礎をなしていることは明らかだ。

- カーター前大統領はアナポリスでの演説で、共産主義が「ほかの国々にとって、マルクス・レーニン主義の色合いを帯びた国々にとってさえ、ますます魅力を失っている」と指摘したし、レーガン大統領も、共産主義の終わりが見えはじめた、と述べているが、こうした発言をどう説明するか。

A われわれの解釈では、そうした発言はホワイトハウスの希望的観測にすぎない。さっきあなたが引用した数字もこうした見方を覆し、世界の発展の原動力が資本主義の手から離れていることをはっきり示している。

- ポーランドの出来事が社会主義に対するそうした見方を助けていると思うか。

A いや思わない。どんな体制でも過ちを犯さず困難にも直面しないですむ保証はない。資本主義ももちろん、この点で例外ではない。さらに複雑な社会的、政治的任務に取り組む社会主義の場合も同じだ。当然のことだが、歴史的過程も、革命も順調に発展することはありえない。社会主義諸国にも失敗はある。しかし、世界の出来事を全体として客観的に分析すればわかることだが、アメリカの大

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[p. 84]

統領はもう少し慎重に見通しを立てるべきだと思う。

- しかし.社会主義国には、ソ連も含めて、経済状況が決してよいといえない国が多いではないか。

A われわれは多少の経済問題を抱えているし、これについては、だれはばかることなく熱心に討議している。しかし経済聞題を抱えていない国があれば名前を挙げてほしい。それにわが国が着案なべースで発展していることを見逃すことはできない。わが国の成畏率は、西側の標準に照らしていえば、少なくとも正常と考えられる水準にある。ソ連の歴史では、かつて一度も景気後退を経験したことがない。一九七〇年代にソ連の一人当たり実質所得は約五〇%増えた。そして人ロの四〇%は、新しい質の 高いアパートに移っている。

- それはいささか楽観的に聞こえる。七〇年代には、ソ連のGNP工業生産も成長率が急落しているのではないか。

A 成長率は幾分さがってはいる。もっとも、それでも7メリカと比較すると、約二倍の高さだった。

- 農業はどうか。西側ではソ連の農業が完全にだめだとよく言われているが。

A それはまったく事実に反している。わが国の農業にまだ重大な困難があることは確かだ。これはある程度、西側諸国よりも厳しいソ連の気象条件が原因だ。しかし農業は、基礎的な発展過程がいま急速に進んでいる経済部門の一つである。過去五年間に、ソ連は全予算の約二五%にあたる一七二〇億ルーブルを農業に投資した。主要農産物の生産は、われわれの期待ほどではないにしても、着実に増加してきた。

- あなたは近いうちにアメリカで革命が起きるとは考えていない・しかし一般的に言っ、てアメリカにいずれ急激な変化が訪れることはありうると思うか。

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[p. 85]

A もちろんだ。すべての人たちに社会主義の未来があると考える者として、この点でアメリカだけを例外扱いする理由はどこにも見当たらない。

近い将来ではないかもしれないが、究極的にはアメリカ社会も社会主義への変革を遂げるだろう。自分たちの利益に最も適合する体制を決めるのはアメリカ人である。アメリカを社会主義化する時がきても、これは他の社会主義国とはまったく別の社会主義になるかもしれない。アメリカ社会主義は「メードイン・USA」のラベルを付けたものになるだろう。

無知と愚直

- 一九三三年に、アメリカ人は思い切った解決の方法を見つけたが、ドイツ人は破滅への道を踏み出した。アメリカも将来対処を誤って同じ工うな危機に陥ることがあると思うか。

A そうならないよう望みたい。そうはなるまいと考える理由は幾つかある。まあ、私の見るところでは、アメリカ人も過去数十年間でずいぶん賢明になった。無事平穏の時代より、嵐の時代のほうが普通、いろいろ学ぶことが多いものだ。

歴史的経験が豊かになったことを別にしても、大衆教育が目に見えて進歩した。アメリカ人は以前よりよくものを読んでいる。アメリカは本物の読書ブームを迎えている。アメリカ人の多くは、たぶん以前よりも政府の宣伝に惑わされることが少なくなっているし、自分でものごとを判断し、決定する傾向が強くなっている。

しかし、世界をもっと現実的に見るという方向に向けての前進は、残念ながら遅々としている。あの国にはいまだに無知と愚直がはびこっている。

アメリカ国内でも海外でも、状況は一九三三年より現在のほうがはるかに旗雑だし、大衆操作の技

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[p. 86]

術は長足の進歩を遂げている。国を間違った方向に引っ張っていこうとする連中も、手のこんだことをするようになった。したがって、平均的アメリカ人の啓発の度合いが高くなったとはいえ、いざという時に誤った選択をする可能性が完全にないとはいえないと思う。

- 確かにヨーロッパで見ていると、いまだにアメリカ人は、ヨーロッパの人間とは違って、帝国がすでに過去のものとなったという事実を直視するのを、ひたすら拒んでいるように思われることが多い。

A 同感だ。学ばなければならない教訓は多いし、理解しなければならない新しい現実というものも多い。たとえばアメリカ人は、絶対に安全だという感覚に慣れ親しんできた。この感覚は越えがたい障害ともいえる二つの大洋に囲まれて、過去二世紀以上にわたって培われてきたからである,第二次大戦後の最初の何年かアメリカが持っていた戦略的優位のおかげで、この絶対に安全だという感覚はいっそう強まったに違いない。

いまやその状況はがらりと変わった。単にソ連の軍事力がアメリカとほぼ同等になっただけではない。いったん戦争が起きれば、アメリカはソ連をはじめほかのすベての国々とまったく同じように、壊滅する弱みまでまりたく同じになったのである。

これはアメリカ人にとっては新しい心理的経験である。これを受け入れ、あるいはこれに慣れることは決して容易なことではない、こうした状況は「ソ連の脅威」に対して、以前よりもパニックに陥りやすい空気を醸し出す。また、十分なカネの割当てを受け、しかるベき量の兵器を生産できさえすれば、かつての無敵の地位を取り戻すことができる、という魔法を約束するものに従おうという絶えまない誘惑が生まれもする。

さらにまた、アメリカが遠隔の池にあって自給自足し、長い間孤立して

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[p. 87]

いたために、外部の世界に関心を促すものがなかったことも挙げなければならない。アメリカ人が複雑な国際問題を詮索することをあまり得意としない理由はここにある。外交政策をしばしば国内政治の犠牲にするような状況が続いているのもこのためだ。


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